ヨークシャーテリアについて
ルーツ
「ヨーキー」という愛称で、親しまれているヨークシャテリアですが、19世紀にイギリスで作出され、正しくは、「ブロークン・ヘアード・スコッチ・オア・ヨークシャテリア」という大変長い犬種名で、イギリスのヨークシャー州・スコットランド州の、ワイヤーヘアのテリアといった意味になります。
現在のヨーキーはワイヤーヘアどころか絹の様にすべすべした直毛ですが、作出されていた時期にさまざまな犬と交配されていたため、毛質だけでなく大きさも5kg以上ある個体も多かったそうです。当時、交配に使われていた犬は、スカイテリアやマンチェスターテリア、ウォーターサイドテリアやマルチーズ、更に他に数種類あったとされますが、交配を進めて犬種として安定化させていくうちに、ヨークシャテリアは小型化され、滑らかな直毛の毛質になりました。
ヨーキーは当初、愛玩犬ではなく、作物や人間の食べ物を荒らすネズミを捕るための犬と作出され倉庫や工場など室内でネズミを追えるほど小さく活発なテリアとして労働者階級の市民に飼われていましたが、サイズの小ささ、被毛の美しさ、活発で明るい性格が評判となり貴族などの上流階級でも飼われるようになりました。
1861年にイギリスのドッグショーに初めて出展され、1870年に「ヨークシャテリア」の名称が広まりました。1872年にはアメリカにも入り、1882年にはイギリスのケネルクラブ公認の犬種となりました。やがてこの犬の魅力に取りつかれた欧米の繁殖家たちにより、ヨーキーはさらに小さく、美しい被毛をあたえられるようになりました。
日本に入ってきたのは戦前の頃からといわれていますがはっきりしていません。
戦後、高度成長期の豊かな時代になると、マルチーズと共に代表的な「お座敷犬」として、室内で手厚く飼われるようになり、長年登録件数トップ10入りが続いています。
日本では、第3グループのテリアグループに分類されていますが、海外では愛玩犬グループに分類されているところもあるようです。
なお、ヨーキーとよく似た見た目のシルキーテリアは、オーストラリアンテリアとヨーキーの交配によってつくられましたが、現在は別々の犬種として扱われています。
毛色・毛質
子犬の頃はほとんどがブラック&タンという、黒が基調でタンという黄褐色が入っている色ですが、成長するに従い毛色が変わっていき、7回毛色が変化すると言われるほど毛色が変化していきます。
ブラック&タンから成長するにつれてブラックカラーに艶が出てきて、シルバーがかった毛色になります。
赤みがかった部分は次第にゴールドカラーに根元から変化していきます。
光沢で艶のある本来のヨーキーの毛色になるには2年ほどかかりますが、その後も毛色は変化していくので一生をかけて、毛色の変化を楽しむことが出来るでしょう。
ヨーキーの毛色は、子犬の頃は、ブラック&タンですが、成長して毛色が変わり、単が薄くなりゴールドっぽくなり、ブラック&ゴールドに変化し、成犬になると、ブルータンである程度落ち着きますが、その後ブルーゴールドに変化する子もいます。
最終的にはスチールブルータンに落ち着くヨーキーがほとんどで、毛の色に青みがかる子がほとんどですが、毛色の変わり具合も個体差があるため、変化の仕方はさまざまです。
毛質は左右対称に伸びるまっすぐな直毛で、光沢があり、シルクのような滑らかな毛質の「直毛タイプ」は、「動く宝石」と呼ばれるほどきれいな毛並みです。
また「ウーリータイプ」と呼ばれる、毛の流れにうねりのあるタイプもいます。どちらもシングルコートの為、抜け毛は少ないですが、長く伸び続けますのでお手入れが大事になります。
性格
ヨークシャテリアは警戒心が強く負けん気があり活発で頑固な典型的なテリア気質の持ち主で、いつもエネルギッシュに活動します。警戒心が強すぎると臆病で神経質な一面も目立ってしまうこともあります。
冒険が大好きで小柄な割には、いつも事件を起こすほどエネルギッシュですが、忍耐力があり、利口なためしつけ次第で心強いパートナーになるでしょう。
飼い主に対しては愛情深く、深い信頼感を抱き、スキンシップも大好きで、遊びに誘ってくることもしばしばありますが、一人ぼっちにされると元気が無くなったり、食欲もなくなったりしてしまうこともあるので長時間のお留守番などには注意しましょう。知らない犬には攻撃的に吠えたりすることもありますが、明るく活発で、子供の遊び相手にも向いている犬種でもありますし、自分のテリトリーをしっかり守ろうとするので番犬にも向いています。
メスは幼犬の頃こそ活発ですが、成長とともに落ち着きが出て、思慮深くなると言われています。また、オスの方がメスよりも甘えん坊なことが多く、成犬になっても好奇心旺盛で、人と触れ合うことを好む傾向にあります。
特徴
日本の犬種標準では体高が23cm程度、理想体重3.1kgまでとされていてチワワ同様世界一小さな犬としてギネスブックに載ったこともありますが、犬種作成の過程で、中型、大型のテリアが入っていることや、犬種の作出からあまり時間が経っていないため、性質の固定が不十分なため標準より大きな7kgくらいのサイズのヨーキーが生まれることも時々あるようです。
しかし、体は引き締まっていて、コンパクトながらも誇らしげに歩く姿は軽快で、テリアらしさを継承している犬といえます。
ヨークシャテリアの顔はつぶらな瞳にピンと立った耳、顔の毛の量が多いのが特徴で、そのかわいらしい表情は魅力がいっぱいですし、表情が豊かなことから「目で話す犬」ともいわれることがあるようです。体高と背線の長さが同じ位置でとてもバランスよく、知的で気品にあふれています。
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