パピヨンについて

 

ルーツ

 

パピヨンは昔からヨーロッパ地方に生息していた小型のスパニエルだと知られていましたが、その正確な起源はいまだに解明されていませんが、最古の記録では1545年にポーランドの王位についた貴婦人に売られたのがパピヨンだったとされています。また、パピヨンの起源は、スペイン原産のスパニッシュ・ドワーフ・スパニエル、及び北方スピッツ系犬種であると考えられているなどいろいろな説があります。

イタリアのボローニャ地方で繁殖され、フランスを中心とするヨーロッパの貴族階級の貴婦人たちに人気になりました。当時描かれていた肖像画にもパピヨンが描かれていたものが多数存在しています。また、フランスのルイ14世はパピヨンをこよなく愛し何頭も輸入していたと言われていますし、マリー・アントワネットは処刑させる寸前まで傍らにパピヨンがいたと言われています。

初期のパピヨンは、今みたいに大きな耳が人気だったわけではなく華やかな尻尾が注目されて人気を博していました。当時は「パピヨン」と呼ばれていなくて、「スカーレル(りす)・ドッグ」や「スカーレル・スパニエル」と呼ばれていました。また、当時は垂れ耳の子がほとんどで立耳の子はあまりいませんでした。

18世紀後半には突然変異で生まれた立耳のパピヨンを選択しての交配が始まり、19世紀では、ベルギーでもパピヨンの繁殖が始まり、1923年にイギリスで初めて紹介され、1935年にはアメリカケネルクラブ(AKC)で公認されました。

 

スピッツと交配して大きな立ち耳のパピヨンになり、チワワと交配して体を小型化していき今のパピヨンに近い形になったので、繁殖が盛んだったベルギーが原産国だという意見もありますが、正式にはフランスが原産国となります。「パピヨン」と名付けられたのもこの頃で、「蝶」を意味するフランス語の「papillon」という言葉が語源となっていてマリー・アントワネットにより呼ばれ始めたとされています。

20世紀にはいるとパピヨンはさまざまな国でドッグショーに参加するようになり人気を博しますが、当時は、今の大きさより若干大きくてほとんどの子がレッド1色だったと言われています。現在は、品種改良により、一回り小さく、毛色も多彩になって、ショードッグとして華憐な姿を見せるだけでなく、服従訓練にも参加するなど幅広い分野で活躍できる犬種になりました。

毛色・毛質

 

基本は「レッド(茶)&ホワイト」、「ホワイト&ブラック」、「トライカラー」のみで、白地に黒または茶色の斑のバイカラーと、白・黒・茶が入っているバイカラーしかJKC(ジャパンケネルクラブ)の公式に認められていませんが、パピヨンは白地であれば、被毛カラーは自由となっているので、これから将来バラエティー豊かな不毛カラーを楽しめるようになるかもしれません。

白地+レッド、白地+ブルー(灰色がかった薄い茶色)、白地+セーブル(黒みがかった茶色)といったカラーも存在しています。

 

パピヨンが出てきた当初は、単色だったみたいですが、今は、単色は認められていません。また、子犬の時の毛色は成長して成犬になるに従い、色が変わることもあります。トライカラー(白黒茶)の子の黒が成長するに従い抜けてバイカラー(白と茶色)になるなどすることもあります。

毛質はアンダーコート(下毛)のないシングルコートですが、スェーデンなど寒い地方にいる一部のパピヨンは、アンダーコートも生えている場合があり、シングルコートでもふさふさとしていて大人になると艶のあるシルクのような触り心地の毛がさらにもふもふしていると言われています。耳、胸、足、尻尾に飾り毛がありますが、バリカンでサマーカットなど短くしすぎると毛質が変わってしまって、今まで同じ方向に向かって生えていた毛がバラバラの方向を向いて生えてくるようになったり、毛が生えそろうまでのスピードが遅くなってしまったりすることもあります。

性格

 

パピヨンは頭がよく、活発で好奇心旺盛で、やんちゃでもあります。また、愛想がよく人間が大好きでもあるので家庭のアイドルにもなりますが、プライドが高く自己主張が強いため、思い通りにいかないと吠えたり、威嚇したり、などわがままになってしまうこともあります。
周囲の状況を察して、その雰囲気に合わせた態度を取ったり、時にはその場の雰囲気を変えようと明るい雰囲気になるような仕草をしたりするなど、賢い一面もあり、家庭にいるだけで明るくなるような天真爛漫な性格をしていますが、大変神経質な一面も持っていて家庭内の雰囲気が悪くなるとストレスを崩してしまう様なナイーブな面も持ち合わせているので注意が必要です。

特徴

 

パピヨンの名前の由来にもなった大きな耳が特徴的で、その大きな耳は蝶が羽を広げているように見えることから「パピヨン(フランス語で蝶)」と呼ばれるようになったほどですし、イギリスでは「バタフライ・スパニエル」という別名もあります。

また、初期のパピヨンでは、ほとんどがそうでしたが、今のパピヨンでは珍しい「ファーレン(ファレーヌ)」と呼ばれる垂れ耳のパピヨンもいますがこちらは、パピヨンが「蝶」という意味に対してなのか「蛾」という意味があります。また、立耳のパピヨンよりファーレン(垂れ耳)の方が大きく成長しやすい傾向にあります。

垂れ耳のファーレンと立耳のパピヨンは、同じ親から生まれてくることもあるので、耳以外の特徴は同じだったりすることもありますし、たまに片方の耳が立っていて、もう片方の耳が垂れている子が生まれることもありそうです。ヨーロッパでは、垂れ耳か立耳か関係なく「コンチネンタル・トイ・スパニエル」として、単一犬種として扱われています。パピヨンは他にも、くるりと上を向いたふさふさしている尻尾はリスのしっぽにも似ています。

 

体高は20~28cmくらいで、体重は2~4kgと小さなサイズですので華奢に見えますが、結構丈夫な体をしています。
体長は体高に比べて少し長く、背線は水平で、四肢は真っすぐでスマートに伸びている。標準的で調和のとれた躰をしていて立ち姿は優美な雰囲気を醸し出します。
頭蓋は小さく丸みがあり、目はやや大きいアーモンド形で暗色、また、唇、瞼、鼻の色素は濃くなくてはいけなくて黒が望ましいです。

 

 

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