キャバリアについて
ルーツ
キャバリアの正式名称は「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」といい、キャバリアの祖先犬は、16世紀ごろには存在していたと言われています。
18世紀ごろには小さなスパニエル種を飼う習慣があり、長らくイギリス王室の愛玩犬として寝る時に足元を暖めたり、蚤から飼い主を守ったりなどの忠誠ぶりから愛されるようになりました。
特にチャールズ1世、2世に大変愛されてきて公務の際も片時も離れず傍に置いていて遊んだため公務に支障が出ることもあったというほどで、人々はこのスパニエル種を、「キング・チャールズ・スパニエル」と呼ぶようになりました。当初のキング・チャールズ・スパニエルは、「コッカースパニエル」によく似た外見をしていて鼻筋もスッとしていました。
18世紀ごろになるとイギリスでは短吻種 (鼻ぺちゃ犬)が大流行し、その影響を受け、パグや狆などと交配され、キャバリアより1周り小さく鼻ぺちゃ犬である現在の「キング・チャールズ・スパニエル」が生まれました。キング・チャールズ・スパニエルはイギリスをはじめとするヨーロッパの貴族や王族から人気を博しましたが、鼻ぺちゃ犬に多い「いびきがうるさい」ことと強引な繁殖により健康面に問題が出て聞きやすくなってしまった「病弱」であることが懸念材料になり、19世紀前半頃になると、本来のスパニエルを残す運動が始まりました。
本来のスパニエルに近い長吻化運動が始まり、アメリカの富豪がチャールズ2世の時に描かれたキング・チャールズ・スパニエルの絵画を見て、当初の鼻筋の通ったキングチャールズスパニエルに戻そうと様々な活動を行い、莫大な懸賞金までかけて復活を呼び掛けたことによって繁殖者による長吻に戻す交配が進められ成功しました。
こうして固定化されたキング・チャールズ・スパニエルは、元のマズルが短いキングチャールズスパニエルと区別するために、中世の騎士を意味する「キャバリア」を頭につけて、「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」と名付けられ、独立した犬種として登録されるようになりました。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルには、中世の頃の姿を取り戻したキング・チャールズ・スパニエルという意味と、騎士らしく雄々しい雰囲気から名づけられたとされています。
犬種として登録されたのは、本国イギリスで1945年、アメリカでは1996年と大変遅くなりましたが、1960年ごろには英国の王室にもキャバリアが迎えられ人気が広がりました。
毛色・毛質
キャバリアの毛色は、「ブレンハイム」、「ルビー」、「ブラック&タン」、「トライカラー」の4種類です。
キャバリアと聞いて思い浮かべられることが多い白地にチェスナット色(明るい茶色)のポイントが分布し、頭部の模様が均等に入っている「ブレンハイム」は、この犬を大変かわいがっていたマールボロ侯爵の領地の名前が由来になったとされています。
ブレンハイムの頭頂部に「ロサンジュ」といわれるひし形の斑があると価値が高いとされていて、一説によると4頭に1頭程度の割合の確立で現れ、菱形というよりも長円形~円形で、真ん中ではなくどちらの耳に偏ってついていることがあるようです。
「ブラック&タン」は、艶のある漆黒色で両目の上、頬、耳の裏側、胸及び脚、尾の裏側にタン色(茶色)のマーキングが入っています。
「ルビー」は、明るい茶色の単色で他の犬種ではレッドと表現されていることが多い毛色で、白斑は好ましくないとされています。
「トライカラー」は、境目のはっきりしているブラック&ホワイトに、両目の上、頬、胸、耳の裏側、脚の内側、尾の裏側にタン色(茶色)のマーキングがあり、「プリンス・チャールズ」という愛称でも呼ばれています。
毛質は上毛(オーバーコート)と下毛(アンダーコート)の 2重構造で毛が生えているダブルコートで、下毛が抜け替わることによって季節に合った体温調整を行っていますので、春から夏にかけてと、秋から冬にかけての年2回毛の生え変わる時期があり、この期間は抜け毛が多くなります。
ストレートとウェーブタイプの子がいますが、どちらも絹のような滑らかな肌触りをしていて細く絡みやすいです。毛の長さは、少し長めで、床につくほどの長さはありませんが、飾り毛は豊富です。ウェーブがかかっている毛の子は、巻き毛の様な毛をしている子やくせ毛を持っていたりします。
性格
キャバリアは活発でありながら、大変穏やかで友好的な非常に性格がいい事で有名な犬種ですので、番犬には向いていません。無駄吠えが少なく、あまりほえない犬種です。
落ち着いているのに遊びが好きですが、争い事は好まずに他の犬や人間と仲良くしようとするため多頭飼いにも向いています。
よく考えて人の気持ちを汲み取ろうとしたり、神経質な面も少なく子供に対しても根気よくおおらかに接してくれます。
スキンシップが大好きなので、触ってほしいと甘えたり、自分で膝の上にのって来たり、くつろぐにも家族の誰かに少しでも体がくっついてなければ落ち着かないこともあるほどの甘えん坊です。
性別による性格の違いは、女の子は、穏やかで人懐こいですが少し繊細な面もあります。男の子は女より楽天的で活発な甘えん坊が多いと言われています。
特徴
キャバリアは身のこなしが穏やかで、バタバタせず優しく穏やかな表情をしています。
体高は30~33cm、体重は5~8kgくらいで体高より体長の方が長めの少し大き目の小型犬で中型犬に分類されることもあり、ややがっしりした体つきをしています。
キャバリア好きな人には体重が5kgくらいの小さめの子が好きなスモール派と体重8kg超えるような大きな子が好きなラージ派がいるようです。
頭の上の方についている垂れた大きな耳は飾り毛も豊富です。目は丸く大きくいですが、たれ目のせいか優しく穏やかな表情をしています。
平らな額に愛嬌のある口元、脚、胸、尻尾に生えている知的で優雅な印象を与える羽毛のような飾り毛が特徴です。
鼻は小さめで黒く、歯はシザースバイトが好まれます。
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